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With AI実践メモ · 2026.10About

AI活用 · AIにも、研修期間がある自分でやったほうが
早い?
その作業、2回目から楽になる。

「修正に、手間がかかる? それは、1回目だけ。 振り返って、次に渡す」というコピーと、直しの×だらけの机から、真ん中のチェックリストのノートを通って、○がそろった机へ移る様子を描いた、今回の記事のサムネイル
読了の目安 約0分

1回目は、AIに仕事の進め方を伝える研修。2回目からは、そこで分かったことを渡して、進め方を調整する。

AIで効率化しようと思ったのに、使ってみると直すところが多くて「これなら自分でやったほうが早いな」と思ったことはないでしょうか。慣れている作業だけでなく、「AIでやってみよう」と新しいことを試したときも、同じように感じることがあるかもしれません。

私も、初めての作業では何度も修正します。「なかなかうまくいかないな」「こう伝えたらどうだろう」と、試行錯誤しながら進めています。

でも、前回の経験を活かすと、2回目からは修正がぐっと減ります。投稿のサムネイルも、初回は5回ほど直しましたが、今では1〜2回のやり取りで作れています。この記事の制作も、以前より楽に進められるようになっています。

最初の作業は、AIに仕事の進め方を伝える「研修」のようなものです。新しく入った人に、実際の仕事を通してやり方を教える場面、いわゆるOJTに近いです。

では、初回の試行錯誤を、次の作業にどう活かせばよいのでしょうか。今回は、その方法を紹介します。

今回の結論

1回目は、AIに仕事の進め方を伝える研修。2回目からは、そこで分かったことを渡して、進め方を調整する。

初回の作業で分かったことを、次の依頼に活かします。AIに渡すものは、次の3つです。

  • 伝えていなかった要件(修正を通して分かった、満たしてほしい条件)
  • 見本(前に作ったもの)
  • 判断の軸(「こういうときは、こうする」という判断の基準)

投稿のサムネイル作りと、この記事の制作を例に、次の順番で紹介します。

なぜ、何度も直すことになるのか

01 直したところから、伝えていなかった要件を拾う

02 見本を渡す

03 判断の軸を育てる

理由なぜ、何度も直すことになるのか

そもそも、なぜ「いい感じだけど、なんか違う」が起きるのでしょうか。

前々回の投稿のサムネイルを作ったときのことです。投稿を添付して、「この投稿のサムネイルを作ってください」と頼みました。画像の縦横比を指定し、雰囲気やデザインの参考としてWeb記事のスクリーンショットも添えて、3案お願いしました。

返ってきたのは、記事のタイトルを大きく載せ、机やノートの写真を添えた画像でした。きれいではあるし、投稿の内容も表していました。ただ、表現が直接的すぎて、私が思い描いていたものとは違いました。

前々回の投稿のサムネイルで、最初に返ってきた3案。記事のタイトルを大きく載せ、机やノートの写真や人物のイラストを添えている
最初に返ってきた3案。1つ目(上)、2つ目(左下)、3つ目(右下)です。 拡大して見る

私の中には、「投稿の内容を、比喩で象徴するイラストにしたい」という要件がありました。でも、それをAIに伝えていなかったんです。

理由はいくつかありますが、その一つは、自分が分かっていることと、AIに伝わっていることの差です。

自分の当たり前は、相手の当たり前じゃない

頭の中のイメージや、経験からくる「いい感じ」を、最初からすべて言葉にするのは難しいものです。自分が知っていることを、相手が知らない立場で考えるのも簡単ではありません。心理学では、これを「知識の呪い」と呼びます。

慣れている作業では、自分にとって当たり前になった要件を、説明せずに済ませてしまうこともあります。

人間同士なら、同じ環境で働いた経験や、これまでのやり取りから意図をくみ取ってもらえることもあります。でもAIには、頭の中のイメージがそのまま伝わるわけではありません。

AIは、書いていないところを無難に埋める

AIは、伝えた要件を手がかりに作ります。足りない情報は、文脈から推測して補います。 特に表現の方向性を指定していなければ、今回のように無難な仕上がりになることもあります。

見た目は整っているのに、欲しかったものとは違う。これが、「いい感じだけど、なんか違う」の一因です。

何度も直すからといって、AIを使うのが下手とは限りません。頭の中にあるイメージや意図を、まだ共有しきれていないこともあります。

では、伝えきれていなかった部分を、どう整理して渡せばよいのでしょうか。

要件直したところから、伝えていなかった要件を拾う

手がかりは、修正したところにあります。「なぜ、この修正が必要だったのか」を振り返ると、最初に伝えきれていなかった要件が見えてきます。

目的は、次に同じ作業をするとき、最初の依頼に入れられる形で残しておくことです。

残すのは、直し方ではなく要件

振り返るときは、具体的な直し方から、満たしてほしかった要件を取り出します。 その場の直し方だけを残すと、別の内容を作るときには使いにくいことがあります。要件として整理しておけば、次の作業にも活かせます。

前々回のサムネイルなら、こうです。

  • 具体的な直し方:ノートやメモに目的が書かれたイラストを、人が山を登り、AIがサポートしている比喩のイラストに変えた
  • 要件として残すこと:投稿の内容を、比喩で象徴するイラストにする。人物とAIの役割も、投稿で伝えたいことに合わせる

この場合、比喩を使うだけでなく、「人間がゴールを決め、AIがサポートする」という関係を描くことも大切でした。

男性が地図を広げてゴールを指し、複数のロボットが道や荷物を支える、前々回の投稿のサムネイル
前々回の投稿のサムネイル(完成版)。人が行き先を決め、AIが道中を支える構図です。 拡大して見る

サムネイルに限らず、資料や記事でも同じです。この記事の制作なら、こうなります。

  • 具体的な直し方:第1回で「結局、何を持ち帰ってほしいのか」が伝わりにくかったため、導入のあとに「今回の結論」の枠を足した
  • 要件として残すこと:導入のあとに結論を示し、読者が要点を探さなくても、何が大事か分かるようにする

この連載の目的は、読んだ内容を実際のAI活用に役立ててもらうことです。そのために、まず押さえてほしいポイントを、早い段階で伝えるようにしています。

前回のサムネイルでは、前々回の修正で分かった要件を、最初の依頼に入れました。「このように、投稿内容を比喩で象徴する感じで」と伝えています。

前回の投稿のサムネイルで、最初に返ってきた3案。上は机で試作案を並べる人物、左下は石像を彫るロボット、右下はボードの試作案を指さす人物とロボットのイラスト
前回、最初に返ってきた3案です。上、左下、右下の3枚のうち、完成版は左下のコピーと右下のイラストを組み合わせました。 拡大して見る

返ってきた3案から、1案のコピーと別の案のイラストを組み合わせ、余計な文字を消すだけで完成しました。

一発で決めない。試作から育てる。AIは試作担当、人は監督というテーマを表した、前回の投稿のサムネイル
前回の投稿のサムネイル。返ってきた3案から、1案のコピーと別の案のイラストを組み合わせ、余計な文字を消して完成しました。 拡大して見る

振り返りは、AIにまとめてもらってもいい

とはいえ、作業が終わったあとに振り返るのは、正直めんどくさいですよね。

そういうときは、AIに整理してもらうと楽です。作業をしたチャットで、そのままこう頼みます。

次に同じような作業をするときは、修正を減らし、最初から完成形に近いものを作りたいです。

今回のやり取りをもとに、次の3つを整理してください。

・私がどこをどう直したか、それぞれどんな意図で直したか

・最初の依頼で伝えておくとよかった要件。その場の具体的な直し方から、次にも使える要件を取り出してください

・繰り返し使っている判断の基準。「こういうときは、こうする」の形で書いてください

やり取りから確認できることと、推測したことは分けてください。

出てきた要件や基準は、自分の意図と合っているか確認します。

やり取りが残っていなくても、「こんな修正をしたな」「なぜ必要だったんだろう」と思い出すだけで、整理の手がかりになります。

引っかかった理由を言葉にしておけば、次の依頼に活かせます。自分が何を求めていたのかも、はっきりしてきます。

これまで何度も直してきた経験が、次の作業を楽にしてくれるんです。

見本見本を渡す

前に作ったものを、見本として添付します。AIを使わずに作ったものでも構いません。手元にあれば、作業を始める前から用意できます。

1回目に作ったものがあれば、それを2回目の見本にできます。

前回のサムネイルを作るときは、前々回のサムネイル画像と、その元になった投稿の本文を添付しました。さらに、今回サムネイルを作りたい投稿の本文も添えて、次のように頼みました。

コラム第2回のサムネの作成をお願いします

アスペクト比は16:9で、トンマナはこちらのページに合わせてください。

コピー等のテキストは決めてないです。

イラストは、投稿の内容を表すようなものにしてほしいです。(1枚目のように、投稿内容を比喩で象徴する感じ。このサムネは2つめのmdファイルの投稿のものです)

3案作成お願いします。

言葉だけでは伝えにくい雰囲気やニュアンスも、見本があると共有しやすくなります。一方、見本を添付するだけでは、どの部分を参考にしてほしいのかが曖昧です。見本と指示をセットで渡すと、何を、どのように作りたいのかが伝わりやすくなります。

この例では、サムネイル画像と、その元になった投稿を一緒に渡しています。「この投稿を、こういうイラストで表した」という対応を示すためです。

「1枚目のように」は表現の見本を、「2つめのmdファイルの投稿のものです」は今回作る対象を示しています。添付した資料がそれぞれ何に使うものなのかも、言葉で伝えています。

判断の軸判断の軸を育てる

判断の軸とは、「こういうときは、こうする」という、自分なりの判断の基準です。AIが作業中に参照できるようにしておくと、毎回「ここはこうして」と説明する手間を減らせます。

最初から完璧に決める必要はありません。作業をしながら、少しずつ見直していきます。

  • 「こういうときは、こうする」と書いておく
  • その基準に沿って作っても修正が必要になったら、基準を見直す
  • 「この場合には当てはまらなかった」という例も、一緒に残す

例えば、この連載では「用語は、難しすぎなければ入れる」と決めていました。内容の概要を、短い言葉で伝えやすくなるからです。

ところが、第1回を作っていたとき、AIが書いた一文の根拠に「生存者バイアス」の考え方が使われていました。難しすぎる用語ではないので、基準には沿っています。もっともらしく見えたのですが、説明されている仕組みが、私の言いたいこととは違っていたんです。その結果、自分では重視していないことが、重要な論点のように読める文章になっていました。

問題は、用語を使ったことではなく、用語の中身が伝えたい内容と合っていなかったことです。そこで、基準をこう書き直しました。

「用語は、難しすぎなければ入れる。ただし、その用語の意味や仕組みが、伝えたい内容と合っているかを確かめてから」

「なぜ、何度も直すことになるのか」で出てきた「知識の呪い」は、この基準で確かめて、合っていたので使っています。

AIが参照できる場所に置いておく

人に教えたことも、すべて覚えてもらえるわけではありません。場面に応じて、「この場合は、こう対応してほしい」と伝え直すこともあります。

AIも、以前のやり取りをすべて引き継ぐとは限りません。新しいチャットで何を参照できるかは、使う機能や設定によって変わります。

「プロジェクト」のように、指示や資料をまとめて保存できる機能を使えば、次の作業でも参照させられます。研修で使うマニュアルを、少しずつ充実させるイメージです。

前のやり取りを引き継がないチャットでは、毎回「別の人」に頼むようなものです。それでも、教える側の自分には経験が残ります。「こう頼めばスムーズに進む」と分かったことを、次の最初の依頼に活かせます。

渡すものは、次の2つに分けると整理しやすくなります。

  • 毎回変わるもの(その回の要件や素材):作業のたびに渡す
  • 毎回同じもの(共通の作り方や判断の基準):置いておいて、次も参照させる

1回で終わる作業なら、必要なことを最初の依頼に書きます。

繰り返す作業なら、見本や共通の要件、判断の基準を、次も参照できる場所に置いておきます。「プロジェクト」や「スキル」など、使っているAIで利用できる機能を選びます。

私は、この記事をClaudeの「プロジェクト」機能で制作しています。「前回の構成を流用したい」と伝えるだけで参照してくれるので、かなり楽です。仕事で繰り返し出てくる、似た作業にも活かせます。

いつ置くか

一つの目安は、同じ種類のものを2回目に作ろうと思ったときです。1回目に決めたことを一から考え直すのは面倒なので、前回のやり取りから使える部分をまとめておきます。

1回目を作り終えたときでも、途中で「ここは毎回同じだな」と気づいたときでも構いません。

まずは必要だと思うことを残しておき、使ってみて足りないことに気づいたら、追加していけば大丈夫です。合わなくなった基準は、書き直します。

まとめどのAIでも、やることは同じ

どのAIを使っていても、やることは同じです。

実は、この投稿も、前回の構成をそのまま使って作っています。

1回目は、AIに仕事の進め方を伝える研修。2回目からは、そこで分かったことを渡して、進め方を調整していけばいいんです。

実践実践の手順

以前、AIで取り組んだ作業を一つ思い出してみてください。何度か修正して、ようやく形になったものがおすすめです。

  1. 修正したところを振り返り、伝えていなかった要件を拾う。 やり取りが残っていれば、①のプロンプトで整理してもらいます。残っていなければ、「どんな修正をしたか」「なぜ必要だったか」を思い出して、書き出します。
  2. 次に同じ作業をするとき、その要件と見本を最初の依頼に入れる。 繰り返す作業なら、共通して使うものを、次も参照できる場所に置いておきます。
  3. また修正が必要になったら、置いておいた要件や基準を見直す。 繰り返し使う判断は、「こういうときは、こうする」の形で残します。

一度で決めきる必要はありません。実際に使いながら見直すことで、次の作業に役立つ要件や基準がそろっていきます。

この記事の内容は、1枚のメモ「AI活用Note」にまとめました。保存して、次にAIを使うときに見返してください。

持ち帰り用のメモ「AI活用Note」。結論は、1回目はAIに仕事の進め方を伝える研修で、2回目からは前回わかったことを渡して進め方を調整すること。なぜ何度も直すのかの理由、次にAIへ渡す3つ(伝えていなかった要件、見本、判断の軸)、実践の手順4つを1枚にまとめている
AI活用Note 拡大して見る画像を保存する

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