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With AI実践メモ · 2026.09About

AI活用 · 試作を重ねる返ってきたものが
いまいち?
完璧より改善。

一発で決めない。試作から育てる。AIは試作担当、人は監督というテーマを表した今回の記事のサムネイル
読了の目安 約0分

最初に返ってくるものは、試作でいい。完成させるのは、そのあと直していく工程です。

AIで作業を効率化したい、何か作ってみたい。そう思って頼んだのに、返ってきたものが思ったとおりではなかった、ということはないでしょうか。

資料でも文章でも、「並べ方も見せ方も、どうもいまいち」となる。

そうなると「AIもこんなものか」と思うか、「自分にはセンスがない」と思うか。どちらにしても、そこで終わりにしがちです。1回で完璧に作らなければと思っていると、なおさらです。

私も、最初に返ってきたものが思ったとおりだったことは、ほとんどありません。それでも終わりにしなくなったのは、直し方の見当がつくようになったからです。

じゃあ、どうやって完成に近づけていけばいいのか。

今回の結論

最初に返ってくるものは、試作でいい。完成させるのは、そのあと直していく工程です。

返ってきたものは、次の3つに分けて考えます。

  • そのまま採用してよい
  • 違う。どう作りたいかを言語化できる
  • 違う。どう作りたいかを言語化できない

今回は、前回の投稿のサムネイルを作ったときを例に、返ってきたものをどうやって完成に近づけているかを整理します。何を作るときも、だいたいこのやり方です。

男性が地図を広げてゴールを指し、複数のロボットが道や荷物を支える前回の投稿のサムネイル
前回の投稿で使ったサムネイル。人が行き先を決め、AIが道中を支える構図です。 拡大して見る

流れはこうです。

01 まず、試作を一度作ってもらう

02 返ってきたものを見て、直す

03 それでも近づかないとき ── 頼み方を変える

どの段階でも、返ってくるたびに、結論で述べた3つのどれかを考えます。この見方が、今回の中心です。

読み終えたあと、返ってきたものを見て手が止まることが、少しでも減ればうれしいです。

役割分担今回は、AIを「試作担当」として扱います

AIに何ができるかより、こちらがどんな役を任せるかで、返ってくるものは変わります。

今回任せるのは、試作担当という役です。頭の中の完成イメージを、ひとまず形にして見せてくれる役。一発で完成品を作る役ではなく、試作を何度でも作る役です。

そして私たちは、OKを出す監督です。自分で作れなくても構いません。出てきたものを見て、OKか、直すかを決める役です。

この分担で、作って、見て、直して、をどんどん回していきます。

  • AI ── 試作を何度でも、すぐに出せる
  • 私たち ── 実物を見て決められる。見ているうちに、完成イメージのほうも固まっていく

ただ、この役に向かないものもあります。

  • 試作にならないもの ── 売上の数字、締切の日付、社名の表記。正解が1つなので、案を並べる意味がありません。合っているかを確認するだけです
  • 試作になるもの ── 構成、見せ方、言葉の選び方。正解が1つに決まらないので、いくつ出してもらってもいい

同じ資料の中にも両方あります。今回書くのは、後者の話です。

試作まず、試作を一度作ってもらう

要件を整理するときの観点は5つです。目的、相手、材料、条件、形式。

全部埋める必要はありません。書けるところだけで十分です。今回のサムネイル作成では、こうなりました。

  • 目的 ── 投稿のサムネイルを作りたい
  • 相手 ── 書いていない
  • 材料 ── 投稿の本文。ファイルをそのまま添付
  • 条件 ── 横長(16:9)。雰囲気は記事のページに寄せたい(画面のスクリーンショットを添付)
  • 形式 ── 画像で、3案

「相手」は書いていませんが、それでも大丈夫です。

言葉にしづらい要件は、見本を渡します。画像なら参考画像、資料なら過去に作った資料です。見た目だけでなく、次のことにも使えます。

  • 内容(何を扱うか)
  • 構成(どう並べるか)
  • 言葉の選び方(トーン)

サムネイルでは「雰囲気」が言葉にしづらかったので、記事のページのスクリーンショットを見本として渡しました。

決まっていないところは、先に3案で

まだ決まっていないところや、イメージが湧いていないところは、先に試作を作ってもらいます。最初は3案で頼みます。

サムネイルは、イラストもコピーも具体的なイメージがなかったので、3案作ってもらいました。

3案だと、何がいいのか

1案でも構いませんが、3案で出してもらうと、次のことができます。

  • 自分の意図がちゃんと伝わっているか、ざっと確かめられる
  • イメージがまだ湧いていなくても、並んだ中からいちばん「これいいな」と思えるものを選べる

3つなら、要素ごとに見比べられます。この案のここはいい、こっちのこれは違う、と分けられる。5つ、10個になると見比べきれず、どれが良かったのかも分からなくなります。最初の依頼だけでなく、直してもらうときにも同じ頼み方ができます。

出てきた3案から、1つ選ぶ

出てきた3案から、1つ選びます。

渡した要件を満たしているか。その上で、いいと思えるか。

「いいと思えるか」の物差しは、何のために作るかです。依頼には書いていませんでしたが、サムネイルでは「記事の内容を1枚で表したい(伝えたいことが一目で分かり、イラストが内容を象徴している)」が頭にありました。違和感は、ここからのズレとして出てきます。

両方そろえば、そこで終わりです。満点を探す作業ではありません。

サムネイルでは、1枚選んで、そこから少しずつ直していきました。

改善返ってきたものを見て、直す

一度で直しきらなくて大丈夫です。直してもらったら、要件を満たしていて、いいと思えるかを見て、次に気になったところを直していけばいい。選んだものでも、直してもらったものでも、「違うな」と思ったら、まず考えるのはここです。

どう作りたいかを、言語化できるか。

サムネイルを直していたときの言葉を分けると、次のようになります。

  • 言語化できている ──「テキストをもう少し短くして、説明っぽさを減らしたい」/「人がゴールを目指して、AIがサポートしている感じにしたい」
  • 言語化できていない ──「なんか違う」/「投稿の内容を表すイラストになっていない」

具体化しきれていなくても構いません。「人がゴールを目指して〜」くらい、どうなってほしいかが言えていれば、言語化できている側です。合っているかどうかも気にしなくていい。「ここが原因かな」くらいで渡して、違えば次を考えます。

「投稿の内容を表すイラストになっていない」は、問題が見えているので、言語化できているように思えるかもしれません。ただ、ここで確認するのは「どう作りたいか」です。どんな絵にするかは決まっていないので、言語化できていない側に入ります。

言語化できていれば、そのまま伝えればいい。できていなければ、別のやり方をします。

どう作りたいかを言語化できるとき ── そのまま伝える

言語化できたこと、つまり今どうなっていて、どうしたいかを、そのまま伝えます。

今こうなっているので、ここをこういう状態にしたい

どうしたいかがはっきりしているなら、そのまま具体的に伝えます。まだぼんやりしていても、「こういう感じにしたい」くらいで大丈夫です。細かい形は、返ってきたものを見てから考えればいい。

直したいところは、具体的な場所や、その要素を指す用語で指定すると、狙いどおりに直してもらいやすくなります。もっといいやり方がありそうなら、「3案で」と付け足します。並んだ中から、いちばん近いものを選べます。

サムネイルでは、3枚目のテキストが投稿の内容を簡潔に表していて、いいなと思いました。

サムネイル3枚目の案。『先に決めるのはAIの使い方じゃない。何をしたいか』のコピーと、目的から考えるAI活用を表すイラスト
3つ目(右下)の案。

そのテキストを見ているうちに、「このコピーなら、こういうイラストが合うんじゃないか」とアイデアが出てきた。なので、使う部分を指定して、残りを調整してもらいました。

テキストは3つ目(右下)の案で、イラストを、人がゴールを目指して、AIがサポートしている感じにしたい

テキストは「このまま」と決まっていました。イラストは「人がゴールを目指して、AIがサポートしている感じ」という方向性だけで、構図までは決めていません。投稿の中身が、イラストからも間接的に伝わるようにしたかったんです。3案を見る前に、こうは言えませんでした。選んだあとに出てきた言葉です。

サブコピーは変えたい言葉まで決まっていたので、場所を指定してそのまま頼みました。

(場所を指定して)ここのテキストを「ゴールから考えるAI活用」に変更

「もっと見やすく」と言いたくなったら

避けたほうがいい言い方もあります。「シンプルにして」「もっと見やすくして」のような、良し悪しを言うだけの言葉です。それだけでは、どう直せばいいのかが伝わらないので、受け取り方が毎回変わって、返ってくるものがブレます。

そう書きたくなったら、「何が原因で見にくくなっているんだろう」と一度考えてみます。文字が小さいのか、量が多いのか。原因が分かれば直し方も決まるので、ブレにくくなります。

原因が見つからないときは、どこがずれているかを次の3つに分けて考えると、言葉にしやすくなります。

  • 中身がずれている ── 伝えたいことと、伝わることが違う(言っていないものが足されている、など)
  • 重みがずれている ── 目立たせたいところが目立っていない
  • トーンがずれている ── 雰囲気や言葉遣いが、場に合っていない

サムネイルでは、直してもらったイラストを見て、今度はここが気になりました。

人が山道を登り、ロボットが後ろから付いていくサムネイル案
次の案では、ロボットが人に付いていく構図に。 拡大して見る

このイラスト、AIが置いていかれているようにも見えるな

少し眺めて、理由が分かりました。

AIがお荷物になっている

そこで、こう渡しました。

AIが人の上にいて、手を引いてくれている感じのほうが良さそう

1つ目が気になったところ、2つ目がその理由、3つ目が直してほしい内容です。理由は、先ほどの見方で言えば中身のずれでした。人とAIの関係が、投稿の中身と逆になっていた。理由が分かったので、「手を引いてくれる感じ」と伝えられました。一度直したものを見たからこそ、次に直したいところが見えてきたんです。

そして、直してもらったのがこちらです。ロボットが人の上から手を引く構図になり、伝えた意図が反映されました。

山頂にいるロボットが人の手を引くサムネイル案
AIが上から手を引く案。ここから、誰が行き先を決めるのかを考え直しました。 拡大して見る

どう作りたいかを言語化できないとき ── 見本を渡すか、案を出してもらう

原因を探っても、どうしたいかが出てこないときもあります。そういうときは、まずイメージに近いものが手元にないか探します。サムネイルの雰囲気を、記事のページのスクリーンショットで伝えたのと同じやり方です。見本は、言葉の代わりになります。

見本がなければ、案を出してもらいます。最初の依頼と同じように3案で頼むか、こうしたいという意図だけ伝えてアイデアをもらうか。問題が見えているなら、それも一緒に渡します。「今ここが気になっていて改善したいので、3つアイデアを提案してください」。「ごちゃごちゃしている」くらいのざっくりした問題でも大丈夫です。問題が見えていなければ、伝えなくても構いません。

先ほどのサムネイルも、いい感じにはなりましたが、投稿の内容を表すイラストとしてはまだずれている気がしました。でも、どんな絵にすればいいかは自分でもはっきりしない。なので、意図だけを伝えてアイデアを出してもらいました。

今更だけど、男性が地図広げてロボットにあっちだ!って指さしてるような感じでもいいよなぁって思った

すると、このように返ってきました。

今の画像は「AIが人をゴールへ引っ張る」で、ややAI主導に見える。地図案なら「人間が行き先を決め、AIは一緒に進む」になる。

構図は、男性が地図を広げながら、もう片方の手で山頂の旗を指す。ロボットは男性の隣で指の先を見るのがよさそう。

この提案を見て、作りたいイメージが固まりました。

ロボットを2、3体おいて、道を作ったり橋を作ったり荷物を背負ったりみたいな、色んな援助をしてるイラスト

男の人が地図を体の前に持って広げているような状態にしたい。何て言うんだろう。片手で地図を広げて、片手でゴールの方を指さすみたいな状態

「何て言うんだろう」と言いながら渡しています。ぴったりの言い方が見つからなくても、どうなっていてほしいかが言えれば、それで伝わります。

こうしてできたのが、こちらのサムネイルです。

男性が地図を広げてゴールを指し、複数のロボットが道や荷物を支える前回の投稿のサムネイル
前回の投稿に使ったサムネイル。

補足 · さっきまで良かったものが「違う」に変わる

悪くはないけれど、もっとこうしたい。そう思ったときも「違う」に入ります。見ているうちに理想が一段上がると、さっきまで良かったものが「違う」に変わります。


見直すそれでも近づかないとき ── 頼み方を変える

直しても近づかないときに見るのは、1つだけです。

直すたびに、近づいているか。

近づいているなら、伝え方を工夫すれば届きます。何度直しても同じところに戻ってくるなら、原因は伝え方以外のところにあります。私がつまずいたのは、だいたい次の3つでした。

その道具が、その作業に向いていない

資料のスライドを作らせたとき、配置と色味が、何度言っても同じようにずれました。使っていたAIは、もともとデザインを作るためのものではありません。

そこで、完成品を頼むのをやめ、ラフを1枚だけ作ってもらって、それを見ながら自分で組みました。組むための下書きを頼む形です。

こちらの言葉が、自分の意図と合っていない

サムネイルを作ったとき、記事のページのスクリーンショットを渡して「トンマナ(トーン&マナー)はこれで」と頼みました。返ってきた案には、色やデザインだけでなく、スクリーンショットに写っていた文言まで入っていました。

私の中では、トンマナは色やデザインの雰囲気のことでした。でもこの言葉は、言葉遣いや文章の調子まで含めて使われることがあります。しかもスクリーンショットには文字も写っている。受け取る側からすれば、文字も参考にしていいと読めます。

自分が思っている意味と、言葉が一般的に指す範囲がずれていると、同じ言葉のまま何度頼んでも直りません。

このときは、言葉を自分の意図に合わせて言い直します。「色とデザインの雰囲気だけ参考にして、文字は使わないで」。見本を渡すときも、どこを参考にして、どこは使わないでほしいかまで伝えると、ずれなくなります。

渡す前に、こちらの前提が整理できていない

「こういう内容で資料を作ってください」だけで頼むと、自分の中で整理できていない部分が、そのままずれになって出てきます。

そういうときは、作ってもらう前に、作り方を考えてもらいます。「これをやるために、どういう工程を踏んで、それぞれどう処理するかまで決めて、整理してから作ってください」。作るものの試作ではなく、作り方の試作です。

繰り返し何周かすると、最初の指示が変わる

何周かしていると、どのあたりでずれるかが分かってきます。そうすると、最初に頼む時点で書いておけることが増えます。毎回同じところを直しているなら、最初から書いておけばいい。

この投稿のサムネイルでは、前回何度も直した「投稿の内容を表すイラストにしたい」を、最初の依頼に書いておきました。前回のサムネイルを見本として付けて、「このように、投稿内容を比喩で象徴する感じで」と頼んでいます。返ってきた3案のうち、1つのコピーと別の1つのイラストを組み合わせて、余計な文字を消すだけで完成しました。

サムネイルの話をしてきましたが、資料の構成でも文章でも、やっていることは変わりません。試作を出してもらって、見て、言語化できるところから直していく。言語化できなければ、見本や案をもらう。直すたびに、次に言えることが増えていきます。

最初に出てきたものは試作なので、いまいちで構いません。完璧より改善。試作を重ねて、形にします。

実践実践の手順

やった方がいいとは分かっていても、何をやればいいかが決まらないと、面倒で試せないですよね。

なので、お題を1つ置いておきます。自分の作業で思い当たるものがあれば、そちらでも構いません。

お題:この投稿の要点を、身近な同僚1人にチャットで伝える文を、AIに作ってもらう

この投稿は私がAIを使って書いたもので、機密も含んでいません。そのままAIに貼って大丈夫です。ほかの社内の投稿や資料は、同じようには扱わないでください。

相手は、頭に浮かぶ誰か1人にしてください。相手がはっきりしているほど、「この人には伝わらないな」が見つけやすくなります。普段どんな話し方をしている相手かも書いておくと、口調まで合わせてくれます。

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5つの観点で書くと、例えばこうなります。

  • 目的 ── この投稿の要点を、チャットでその人に伝えたい
  • 相手 ── 隣の席の先輩。AIは検索代わりに少し使う程度で、忙しいので長い文は読まない。普段は少しくだけた敬語でやり取りしている(名前は入れず、どんな人かだけ)
  • 材料 ── この投稿の本文
  • 条件 ── 1分で要点がつかめる長さ
  • 形式 ── チャットで送る文章で、3案
  1. 目的・相手・材料・条件・形式のうち、書けるところだけ書く。 言葉にしづらいところは、見本があれば添えます
  2. それを渡して、3案作ってもらう。 長い文章なら、いきなり細部まで作らせず、内容と構成の案を3つもらうと比べやすくなります
  3. 1つ選んで、こう判断する

要件を満たしていて、いいと思えた→ それで終わり

違う。どう作りたいかを言語化できる→ 「今こうなっているので、ここをこういう状態にしたい」と渡す

違う。どう作りたいかを言語化できない→ 見本があれば渡す。なければ、選んだ1つをもとにもう3案出してもらうか、意図だけ伝えてアイデアをもらう

違うと感じたら、中身・重み・トーンのどれがずれているかを見ると、言語化しやすくなります

  1. 返ってきたら、もう一度手順3で判断する。 何周しても近づかないときは、本文の「③ それでも近づかないとき」を見てください

手順3で言語化できなくても、失敗ではありません。選んでいるうちに、言葉は出てきます。

AIを試作担当にして、自分はOKを出す監督になってみましょう。

うまくいかなかったこと、ぜひ教えてください。


追伸

それでも分からない、どの手もピンとこない、ということもあると思います。そういうときは、AIにそのまま聞くほうが早いこともあります。「こういうものを作りたいんだけど、どうすればいい?」と相談する。私も、分からなければまずAIに聞くようにしています。結局それが、いちばんの近道だったりします。